自律神経失調の治し方

自律神経とは?

・自律神経の姿

自律神経は実体があります。
決して実体のない概念上のものではありません。
下の図の
赤い線が交感神経
青い線が副交感神経です

            出典:ネッター解剖学アトラス

交感神経は脳幹からスタートし、背骨沿いに太い幹が左右に下降して走ります。
その高さのレベルで、担当する臓器や血管に枝を伸ばします。


副交感神経は脳幹あるいは脊髄の仙骨部よりスタートし
主に内臓に枝を伸ばします
交感神経と違い、血管には巡っていません

自律神経の働きは?

自律神経の働きは、内臓と血管をコントロールして
心身を環境にあわせていくことです。

自分の意志とは関係なく、「自律して」働きます。

自律神経は英語でautonomic nerve
自動的にわたしたちの心身を支えてくれているのです。

 

その働きを喩えれば

交感神経はアクセルとして
副交感神経はブレーキとして働きます

自律神経失調症の症状は?

  1. 動悸(どうき)
  2. 息切れ・呼吸困難
  3. めまい・耳鳴り
  4. 頭痛
  5. 倦怠感(けんたいかん) 
  6. 胃腸障害-消化不良・胃痛 -便秘や下痢 
  7. 手足のしびれや冷え 
  8. 不眠 - 寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまうなどの睡眠障害。
  9. 過剰な発汗
  10. メンタルの不安定-イライラ・不安感
  11. 視覚異常 - 目がかすむ、視野がぼやける、まぶしさを強く感じることがある。
  12. 頻尿や排尿困難 
  13. 食欲不振

 

これ以外にも膨大にあります
歯の症状を含め、自律神経と関係のない症状はないといっても過言ではありません。

自律神経失調症の原因は?

細かいのをばっさり端折りました。
大きくは以下の8つに集約されます

・からだの原因3選

①炎症
からだの原因の最重要ポイントです。

ボーリングで言えば1番ピン。

炎症を解消せずして、自律神経は整いません。

ただ、この炎症は明らかな症状に乏しいため、見落とされることが多いです
特に腸と喉と歯が大きく影響します
当院では、この隠れた炎症を細やかに特定し、鍼灸治療とセルフケアで対処します
必要と判断すれば医療機関へご紹介しています


②低血糖(血糖調節障害)

最近メディアでもよくいわれるようになりました。
当院での自律神経失調の患者さんの9割以上は
低血糖症を持っていると感じます。

 

③副腎疲労
副腎疲労というのは今となっては正確な医学用語ではありません。
正しくは「視床下部-脳下垂体-副腎軸の機能障害」が正確な病態です。

 

特に低血糖と副腎疲労の2つはコインの表裏の関係です。
また、炎症は低血糖も副腎疲労も起こしやすくなります。

つまり、炎症-低血糖-副腎疲労は三つどもえとなって起きていることが多いです。

 

・生活の原因5選

①食事

生活の原因の最重要ポイントです。

8つの中でも優先順位TOPです。
治し方においても、食事が7割を占めます。

言い換えると「栄養不足や栄養の偏り」です。
具体的にはタンパク質・ビタミン・ミネラル不足や糖質過多が挙げられます。
これを治すには食事が基本。
サプリを使うのもありですが、補助輪にすぎません。
メインは日々の食事です。

 

 

②思考

病には心や感情が影響すると、最近ではよく言われるようになりました。
トラウマ、潜在意識とか認知の歪みなどから分析されることもありますね。

その本質は「思考の無意識のクセ=思考アルゴリズム=メタ無意識」です。

別の機会に深堀りしますね。

 

③ストレス

④睡眠(夜更かし)

⑤運動不足

 

③④⑤は世間で言われるとうりです。

自律神経失調の治し方は?

真っ先に取り組むことは食事です。
具体的には

「四毒=小麦・乳製品・悪い油・砂糖」を断つ。
重度の症状の方は、100%完全に断つのをおすすめしています。

軽度の方はある程度減らすだけでも効果は多少はありますが、

それでも2週間は完全に断つのがオススメです。
その2週間が終わって、少し四毒を摂ってみてください。
違いがはっきりわかります。

食事さえ整えれば、他の②思考③ストレス④睡眠⑤運動不足も

ドミノ式に改善していくことも多いです

 

小麦のリスク

特に危険なのが小麦です
なぜ小麦がカラダに悪いのか?


小麦のグルテンが腸の粘膜に穴を空け
未消化の成分がリンパと血管に流れ込み
その人の弱いところで炎症を起こすからです

 

小麦は醤油以外、全て断つ。
パン・麺・パスタ・ラーメン・うどん・小麦のお菓子は大量に小麦が入っていますね。

これを食べてる限り、自律神経失調は治りません。

餃子・シューマイ・カレーのルーは含まれる小麦は少量ですが
重症・難症の方はこれも避けましょう。

 

とはいえ、麺類が欲しくなるのが人情です
安全にオススメできる商品がスーパーやネットで手に入ります。

えんどう豆100%のZembヌードル
米100%のビーフンやフォー

麺類欲はこれで十分満たされます

 

 

 

乳製品のリスク

乳製品は、牛乳・チーズ・牛乳から作ったヨーグルト・バター・クリーム類・ヤ◯ルトを断ちます。


牛乳のカゼイン蛋白のうち、αs1カゼインとβA1カゼインがよくありません。

αs1は炎症性物質IL8を誘導し、βA1カゼインは消化管の炎症を引き起こします

 

牛乳は、ほとんどの場合妊娠牛から搾られるため、
高濃度のエストロゲンが含まれます。
エストロゲン>プロジェステロンの状態となり
発がん性や不定愁訴のリスクが高まります

幼少期から高エストロゲンに晒されると

女性は月経開始が早くなり
身体が大人として出来上がる前に

鉄欠乏になってしまいます

 

 

さらには、製造プロセスの高温殺菌とホモジナイズとがよろしくない。
高温加熱&ホモジナイズされるとカゼインと有用なホエイが変性し、
胃の中で固まらず腸へと早く送られてしまう
その結果、本来ならホエイとカゼインに包まれてゆっくりと腸に送られるはずの乳糖やカルシウムが
急速に腸に送られてしまい、下痢を起こします
同時に、変性したカゼインとホエイは脂肪球と反応して巨大蛋白へと姿を変え
アレルゲンとなって炎症を起こします

 

悪い油のリスク

悪い油とは

サラダ油 ショートニング マーガリン ファットスプレッド
植物油脂(パーム油)
店の揚げ物  マヨネーズ オイル系ドレッシング
です

 

理由①トランス脂肪酸が細胞膜を固くし、細胞の働きを妨げる
植物油の製造過程において、
融点を上げたり酸化を防止したりするために
水素を添加する場合があります。
その結果、脂肪酸の構造がシス型からトランス型へと代わり、
「固い脂肪」に変わります。

固い脂肪を摂ると、細胞膜が固くなり劣化します。
細胞膜上にあるミネラルイオンの取り込み口やホルモン受容体の働きが低下します。

 

理由②酸化した油のせいで、炎症が増える

高温調理や高温製造、長期保存のせいで油の酸化が進みます。
酸化した油はアルデヒドなどの毒性のある物質へと変わり、活性酸素を発生させます。

人体内では、酸化→活性酸素の過剰発生=炎症です。
特に不飽和脂肪酸は酸化しやすい。

不飽和脂肪酸の中でもω6脂肪酸をわたしたちは摂りすぎています。
理想の比率はω6:ω3=3:1です。

精製されたキャノーラや大豆油などの植物油を摂りすぎているため、

ω6は過剰摂取となっています。
かといってω3とされる亜麻仁油やえごま油も、敢えて取る必要はありません。
値段が高い割に効果は得にくい。
むしろ油全体の過剰摂取につながります。

ひいては「腺」の病気を引き起こします。
ω3は新鮮な青魚や鮭、未精製の穀物を食べていれば充分です。

理由③ 理由①②のせいで全身症状-赤血球 血管 神経 腺のトラブル-が出る
人体において、脂肪は細胞37兆個の細胞膜を構成するメイン材料です。
細胞膜が劣化すると、細胞に必要な材料が取り込めなくなったり、細胞の老廃物が捨てれなくなったりします。


赤血球は全細胞の3分の2を占めます。
悪い脂肪のせいで赤血球が固くなると、抹消まで酸素が運べず低酸素になり、疲れやすくなる。

 

血管の内膜は1層の細胞からなり、その内膜細胞を包むのが細胞膜です。

 

血管の内膜細胞が劣化すると、血管が固くなり、高血圧や動脈硬化を起こします

 

神経は電気コードのように伸びた部分があり、伸びた部分を脂肪細胞が包んでいます。(シュワン細胞グリア細胞)

脳細胞が劣化すると、シナプス結合に乏しくなり、脳の活動が落ちる。

末梢神経が劣化すると、例えば神経痛や筋力低下が起こります

 

 

 砂糖のリスク

理由①低血糖症=血糖値の乱高下が起こる
砂糖を摂ると、口腔粘膜や食道粘膜からもグルコースが吸収され急激にインシュリンが上昇します。
インシュリンは強力な血糖下降効果があるため、いったん出されてしまうと血糖値が下がりすぎてしまう。
下がりすぎた血糖値を上げようと今度はアドレナリンやコルチゾール、グルカゴンがでてしまう

アドレナリンで神経が興奮し、
コルチゾールで糖新生がおこって筋肉や内臓が分解され、
グルカゴンで胃腸機能が抑制されます 
低血糖は万病の元です。

健康な身体のためには是非とも絶っておきたい

 

理由②糖化が起こる
最近では老化=糖化と酸化 と言われるようになりました。
糖化とはタンパクと糖が強力に結びつき、体内で代謝できず残存してしまうことです。
糖化した細胞はゾンビ細胞と言えます。
例えば血液検査でみるHbA1cなどは糖化ヘモグロビンです
酸素を運ぶ能力はなく、分解も難しい。
役に立たないヘモグロビンなのです。
赤血球に限らず、さまざまな細胞で糖化が起こると本来の働きができないゾンビ細胞が増えてしまいます。


まずはこの4毒を抜くだけでほとんどの自律神経のトラブルは改善が始まります。
とはいえ、上記を読んだだけでは実践が難しいのが現実です。
これをいかに現実の生活に落とし込めるか、「習慣化」がカギになります

 

仕事、家族構成、生活パターンなど人によって様々な事情があります。

当院では皆様の生活スタイルにあわせて、実践的なコツをご提案いたします